足立美術館 横山大観

島根県安来市に位置する足立美術館は、近代日本画や陶芸の1500を超える所蔵品を有する。
なかでも横山大観の作品は約130点にも及び、“大観美術館”との異名ももつ。日本一と評される壮麗な日本庭園も有名な本館には、こうした名コレクションを一目見ようと国内外から毎年50万を超える人びとが足を運ぶ。一方で、作品保存のためには常時これらを公開しておくことは叶わない。
大観の没後からはまだ100年も経ておらず、作品も一見して劣化が少なく鮮やかな色彩を湛える。しかし、こうした鮮麗な作品を可能な限りその姿で保ち後世に伝えるためには、長期的な見通しで予防を考えることが必須だ。足立美術館では、作品の公開を制限することで作品保存の徹底に努めるが、一方で各所より集まるすべての来訪者へ常に作品の感動を共有したいという想いを抱えている。
クローン文化財が担うのは、劣化や損傷、消失した文化財の復元による芸術性の蘇生ばかりではない。現在進行形で紡がれていく芸術の命を後世につないでいく役割もまた重要だ。こうして、横山大観筆≪山海二十題≫うち8点と≪紅葉≫のクローン文化財制作を行った。
横山大観≪紅葉≫(左隻) クローン文化財
クローン文化財 ー油彩画に影響を与えた浮世絵

横山大観≪紅葉≫(右隻) クローン文化財
クローン文化財 ー油彩画に影響を与えた浮世絵